大通りを渡り、服飾専門学校の黄色いビルに近付く。
茜さん…
あの人は一体どこまで、話を知っているんだろう?
服飾専門学校に着くと、ビルの中を覗いた。
街中では浮きそうな、原色の派手な服を着た人が大勢いる。
髪も緑色や赤色、中には三色の人もいる…
入口からコソコソと覗いていると、背の高い男性と目が合った。
彼は私に気付くと、私の方に歩いて来て怪訝そうに言った。
「お前、ウチに何か用か?」
急な展開に戸惑って、言葉に詰まった。
「さ…斉藤 茜さんに会いに来たんですけど」
「ああ、あいつなら今日はもう帰ったぞ。残念だったな」
「あの…
連絡先とか知りませんか?」
彼は明らかに疑念の目で私を見ると、冷たく言った。
「さあ、知らないなあ…」
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