「そう言えば…
あなたが来た後、バイトの女の子から連絡があったよ。
『誰か私を尋ねて来ませんでしたか?』って…
だから、あなたの事を事細かく説明しといたよ。
そうそう、写真を渡した事もね」
え…
私の事を聞く必要なんかないのに?
それより、私が尋ねた事をなぜ知っているんだろう…
「そのバイトをしてた女性の名前を、教えてもらえませんか?
お願いします!!」
「う―ん…」
高橋さんは、かなり困った様子で当分悩んでいたが…
「本人からね、『誰かに聞かれても、教えないで下さい』
って、うるさく言われてるんだよね…
弱ったなあ」
本人が名前を隠すなんて、明らかに怪しい。
私は諦めずに、何度も頼み込んだ。
「お願いします。
高橋さんには、絶対に迷惑掛けませんから!!」
高橋さんはついに、私の粘りに諦めた様な口調で言った。
「私から聞いたって、絶対に言わないで下さいよ」
私に念を押して、彼女の名前を教えてくれた。
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