「うむ…
前のボーカルの名前は、桜井 祐一。
作詞作曲に関しては、天才的だった。
駅前通りの外れにある、酒屋の息子だよ」
「それで、彼はその後どうなったんですか?」
オーナーは俯いて、呟く様に言った。
「分からない…
ただ今回の事件が、もし【G】を狙ったものならば、桜井君も新しいボーカルも、ターゲットになっていると考えていいだろう。
まだ幸いにも、殺されたという報道はない…
何とか出来るものならば、何とかしてやってくれ」
そう言われても…
私自身が、どうにもならない状態なのに。
「あの時きた、音楽雑誌の記者…
あの記者なら、事情を詳しく知っているかも知れない。
去年インディーズ特集が発売されてからも、たまに来ていたからな」
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