オーナーは、ため息混じりに続けた…


「そうだ。
前のボーカルは、ずっと反対してたからな…

彼等の間に一体何があったのかは知らないが、2ヶ月前に突然女の子を連れて来て、彼女が新しいボーカルだと紹介された。


しかし…
それまでは、ボーカルの彼が作詞と作曲をしてたから、以前の音楽とはまるで違うものだったな」


私は呼吸を整えると、思い切って核心に迫った。

「その…
その女性ボーカルは、何という名前なんですか?」


オーナーは首を横に振り、私を見据えて言った。

「知らないんだ。
実際に会ったのは、その1回きりだし…
ただ、都野市出身と言う事だけは、会話の内容から分かったがね」


そうなのか、分からないんだ…


あ、そうだ――


「では、前のボーカルの名前を教えて下さい」


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