この路地は、何が起きても不思議ではない。
路地の真ん中で立ち止まり、いつでも走り出せる状態で左側を見た――
私がそこで目にしたのは、一人の男性が仰向けで首を押さえ、のたうち回っている姿だった!!
「だ、大丈夫ですか!!」
慌てて声を掛けると、男性の動きがピタリと止まった。
何が起きているのか、私には全く理解出来ていなかった…
「…だ、大丈夫…
ゼェゼェ…
あ、ありがとう…
…ゲホゲホ…」
男性はそう言うと、立ち上がって私の方を見た。
茶髪のツンツン頭、鼻にはピアスが2本…
彼は私の横の空間を見ると、冷や汗を流しながら突然ガタガタ震え出した。
そして、何かを叫びながら、路地を奥に向けて走り去った――
「ごめん悪かった…?」
微かにそう聞こえた…
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