「あの…

こちらで発行されてる音楽雑誌について、聞きたいんですが…」


「ああ、あれね。ちょっと待ってね」


年配の女性は立ち上がると、奥の男性に声を掛けた

「高橋く―ん!!
お客さんよ――!!」


奥から30歳前後の男性が歩いて来た…


「あ…私が音楽雑誌の担当をしてる高橋です」

軽くお辞儀をすると、私に名刺を手渡した。


「去年発売されたインディーズ特集について、お聞きしたいんですが…」

担当者は少し困った表情をした。

「まあ、こちらに…」


私はカウンターの横にある、簡易の応接室に通された。


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