三十路バンドギャルの憧憬邪心LOVE Grail

これから一緒に暮らしていくってのに、私に興味すら抱かないようで、テレビを見ながら淡々と飯を食っていく。


抑揚に欠け、平然とした顔を崩さない。

クールな男はそりゃかっこいいけど、ここまで無感情だと私が空気扱いされてるみたいで傷つく。

女としても意識されてないようだし。

こうなりゃ、絶対にこいつを笑わせたくなる。

と、それはもう惚れた腫れたの話よりも意地の問題であった。

つまり、出会った刹那に燃え盛った炎は既に鎮火されていた。

冷静になったのだ。

恋愛は人を盲目にしてしまう魔術だ。気をつけねばなるまい。

ただ、こいつの食いっぷりだけは可愛かった。

子供っぽく飯を食いながら無言でテレビを見る彼から目が離せなかった。