三十路バンドギャルの憧憬邪心LOVE Grail

「音楽は私の血液みたいなものだから、たまには流してもいいかな?」と問えば好青年は、「はぁ」と訝しんで、「ちょっと考えますんで」と煙に巻く。


そんなに一人で勉強したきゃルームシェアなんかに応募してくんなよ。

学費が高くてお金がないんだろうけどさ。土台無理な話。

あとは二十代のフリーターやら若年サラリーマンたちが来訪した。

大半は家賃が格安なのに飛びついてきた人たちだ。

ただ、いくら安さを求めていると言っても妥協しすぎるのも嫌なのだろう。

妥協点を大幅に超えてしまうのだ。

ということは、もっといい場所に住むことができるだけの金があるということで、安定性もあるということで、だが裏を返せば金があるのに使わないケチンボってことになる。


私、そーゆー器の小さい人、嫌いなんですけど。


あたしゃ大金持ちになりたいんだ。

誰が年収三百万以下のリーマンの嫁になるかよ。

いくら低次元な安定があるからってさ。

などと思いながらも、この際、最悪、最終的にそれでもいいから男がほしい、と徐に指を咥えてしまうこの矛盾に満ちた我が心情の悲しいことよ。


で、ここに住みたいというやつはゼロだった。