三十路バンドギャルの憧憬邪心LOVE Grail

やはり、天才は違う。

北欧の軽快な民族音楽で小踊りしたい気分である。

ついでにブドウを踏んで極上ワインでも作ってやりたいぜ。

この部屋、ファミリー用だから三人くらいは軽く住める。

大家に許可もらえれば、男を募集して審査して、よかったら入居させて……。

できるのか?

やってみようぜ、無理かもわからんけど。

私は長女の携帯に電話する。

 「何? こんな時間に」

 「ねぇねぇ、姉ちゃん、私さ、結婚するかもよ」

 「男できたの?」

 「まだ一人だよ」

 「死ね」

善は急げと言うので、部屋の片づけをしてみるのだった。

翌朝には大家のババアに連絡を取り、事の詳細を話した。

最大三人まで入居可能とし、人数分の家賃を請求するのを条件に許可をもらえた。

不人気物件だけに、どうにでもしてくれ的な対応だった。

二人以上になれば家賃を下げるとまで言ってくれた。

駅近の新築マンションに客を取られているからとて、自滅的すぎやしないかね。

大家は仲介業者にシェアルームとして紹介するようにもちかけてくれた。

あとは男を待つだけとなったのである。同居人と付き合うかどうかは別として、新たな世界の幕開けを感じさせる。

ニューワールドオーダー。

まさしく新世界の扉が開くのだと、深夜一時半、妙なテンションでいた私は風呂上がりで裸のままパソコンを起動させヘッドフォンを装着し、V系バンド“デッドデイズ”が創り出した、インディーズ盤セカンドシングル《純愛破壊ファントム》歌詞中に登場する魔神、メドゴラスに祈りを捧げる。



今宵、愛しき人、未来の旦那様を召喚する呪いのミサ、ラブサーバントの儀が始まるのだった。


して、そのミサの効果は――。