堅物の科学本のページをめくればめくるほど、時に楯突く徒労感に脱力していき、やがて、こんなことしてる私って病んでるのかしら、と自嘲して苦笑いする。


二十五歳を過ぎた時点で急激に時が加速したように思えた。

厳密に言えば、仕事を始めて一年経ったくらいだ。

アインシュタイン曰く、好きな人といればすぐに時間が過ぎてしまう、それが相対性理論だそうで、要するに楽しい時ほど早く過ぎ去るというものである。


笑わせんじゃねぇよ!


何もしなくても時は充実、空疎、安寧、不安、余裕と焦燥を混濁させながら只管無情に流れるのだ。

恋人とのひと時がソレだと?

上手いこと言った的なドヤ顔のアインシュタインをぶん殴ってやりたくなる。

相対的であれ何であれ、二人でいようがボッチでいようが、時は止まらず齢は食っていくものだ。

まるで醜い魔女に魔法をかけられたかのように、あっという間に三十路に変わってしまう。

女子高生ブランドがなくなるときは何も思わなかったのに、二十代ブランドの消失となると拒否反応が強くなる。

若者と年増の境界線であり、婚期の下り坂だからか。

このままじゃ二十歳のときに考えた、三十歳までに大金を持ち、やんごとなき男とゴールインする人生設計は見事に破綻しそうだ。


そうなれば売れ残りの腐った果実だと世間から蔑まれる。

大金とイケメンの両方を得ることが我が幸せなのだ。

そのためには、玉の輿かサマージャンボで一発当てるか、糸井●里の後を継いで徳川埋蔵金を掘り起こすくらいはしないと。