三十路バンドギャルの憧憬邪心LOVE Grail

床に無造作に置かれたノートパソコンを立ち上げ、事業計画を練ることにした。

【新事業】と名のフォルダを開ければ、今まで考案した事業アイデアのテキストファイルがわんさか出てくる。


自分でも常軌を逸していたんじゃないか、と思うくらい奇怪なものまである。

例えば、近所の犬の餌を盗み再び缶詰にして新商品として販売など、思いついたまま書いたにしては狂気すぎる。

しかも、ノラ猫が集会する駐車場で缶詰持ってくる婆さんを待つという方法も有? と補足まで書き足しているから恐ろしい。

新興宗教の教祖ってのもあった。

公園にいるちびっ子たちを誑かして教祖になり、後に親をも洗脳していく過程が細かく書かれていた。

私の頭の中に消しゴムでもあるみたいなアイデアではなかろうか。

風俗経営なんてものもあった。

経験を生かして風俗店の女経営者になる。

わりと現実的なので、こういう類の発想をもっとしていくようにした。

嗚呼、「お前のために、おれも考えてやるよ」と言ってくれる男が横にいれば、この作業の虚しさも癒えるだろうに。

風俗やってても出会いはない。

客と付き合うと碌なことがないとよく聞くし、どんなものを背負ってるかもわからんやつと、てか、妻子持ちの男が多いし、不倫するのもややこしいのだ。

町コンで知り合ったやつとも付き合えた例がねぇし、友達連中は結婚してコンパも開いてくれねぇし、嗚呼、と私はビールを一気飲みしてハッとする。


パソコンのディスプレイに映っていたのはホーム画面に設定しているV系まとめサイト、そのサイトにちらつくバナー広告の一つに“シェアハウス”の文字が。
 

あった。