ジュラに落ち込んだ様子はなかった。
むしろ真逆で、ニコニコと笑っていた。
彼の笑顔を見て、周りは呆気に取られる。
フローラもレオンハルトも驚いて目を丸くした。
「ねえ、そんな素晴らしい音楽家の君に一つお願いがあるんだけどさ。聞いてくれるかな?」
「……なんですか?」
冷静な声で探るようにジュラを見つめるレオンハルト。
「今週末にパリでチャリティーコンサートをやる予定なんだ。それに参加してくれない?」
「僕が?」
「そう!君も演奏してくれれば大勢人が集まること間違いないからね。あ、もちろん俺も弾くよ。他にも何人かパリで人気のピアニストが参加してくれる予定」
「チャリティーなんですよね?どういったことを目的に?」
レオンハルトが尋ねるとジュラは少しだけ表情を暗くした。



