「――っ、なんでアンタにそんなこと言われなくちゃいけないのよっ!」
黒王子の言葉に、ついカッとなってしまった私は、下から黒王子を睨み上げる。
そこそこガンをつけたつもりだけど、黒王子はそんな私を鼻で笑ってこう言った。
『図星かよ。』
「~~~っっ」
今日一日を通しての不満と憤りに、鬱憤。
色んなものが積み重なっている今、黒王子のこの言葉で、私の理性はいとも簡単に切れてしまったのも無理はない。
「……ええ、そうね。少なくとも、アンタより白王子の方がよっぽど好意的よ!紳士的で、優しそうで、善良で!アンタと違って物腰も柔らかいし、言葉遣いも綺麗だし、何より、人の心が分かってるしね!」
もう、我慢も限界だった。
人が黙って聞いてれば、確証もない話をペラペラと…!
啖呵を切って黒王子に詰め寄れば、黒王子は眉をピクリを動かし、眉間に皺を寄せただけ。
その飄々とした態度さえも気に入らない。
――そうだ。
私は、黒王子の全てが、気に入らないのだ。
「アンタなんか、大っ嫌いよ!…もう付き合ってらんない。帰る!』
修哉さんに、薔薇園のお土産ひとつくらい買って帰ろうと思っていたけど、そんな気分には到底なれず、足早にその場から去っていく。
薔薇園の出入り口に向かう道中、黒王子の私を止める声すらもなく、私は薔薇園を後にしたのだった。

