いっつも会った瞬間にケンカ腰になっちゃうし。
会話は続かないし。
一緒にいるだけで、なぜか逃げたい衝動に駆られるし。
うん。きっと私と黒王子の相性は最悪なんだ。
『――颯太。』
白王子との会話で、張りつめていた緊張感を解していると、背後から黒王子の低い声がかかった。
振り向けば、黒王子が一人で立っていて、先程まで引っ付き虫のように隣にいた河上さんがいない。
『何?――って、栞奈は?』
『あっち。』
黒王子の指さす方には、ベンチに腰かけた河上さん。
どうしてベンチ?
そんな疑問に応えるかのように、黒王子が口を開いた。
『アイツ、靴擦れしてるみたいだから。……颯太、行ってやれば。』
『ッ!そっか、ありがと!』
黒王子の言葉を聞くなり、慌しく河上さんの元へと駆けて行った白王子。

