別行動をするのなら、出来れば白王子と回りたかったと思ってしまうのも、仕方がないだろう。うん。
『薔薇園は楽しめた?』
数歩私に近付いた白王子は、優しいトーンで問いかけた。
「あー…うん。楽しめたよ。」
言うほど楽しめた記憶はないけれど、ここはお世辞の一つくらい言っても失礼はないだろうと、笑顔を見せてそう言う。
美味しかったソフトクリームも、あの間接キスのせいで、楽しい思い出とはお世辞にも言えなくなってしまったし。
『そっか。よかった。』
私の言葉をそのまま信じた白王子は、にこやかに微笑む。
正直で、人を疑うことさえ知らないような、白王子の善人ぶりが、言葉の節々に現れている。
『一日中歩き回ったから疲れたでしょ?大丈夫だった?』
「うん、それは大丈夫。…歩くだろうなって思って、スニーカー履いてきたから。」
ああ、どうして。
黒王子とは続かなかった会話が、こんなに続くのだろうか。
そして、どうしてこんなにも楽しいのか。
やっぱり、黒王子とは合わない性格なんだろうなと思った。

