不意打ちすぎる黒王子との間接キス以来――…
「『・・・。』」
またもや、沈黙が私と黒王子の間に漂っていた。
隣を歩く黒王子は、周囲に咲き誇っている薔薇に興味すらないようで、淡々としている。
対して私は、先程のソフトクリーム事件が脳内を占領しきっているせいで、心臓バクバクで、黒王子と会話する気力すらない。
この沈黙が痛いよ…。
こんなことになるのなら、まだ白王子と河上さんと一緒に回っていた方が楽だったと思う。
この、とても扱いにくい黒王子を、河上さんならずっと構っていてくれそうだし、私のハブられ感は否めないけれど、黒王子と2人きりの痛々しい現状より、ずっとマシだろう。
2人きりなんて、妙に相手を意識してしまって、どうも空回りしちゃう。
――そのせいで、ソフトクリーム事件は起こっちゃったわけだけど。
これといった会話もないまま、おおよそのコースを回りきって、出口付近のお土産屋さん前を通りかかったその時、
『斗真!!』
まるでタイミングを見計らったかのように、黒王子を呼びながら前方から小走りでこちら(厳密には黒王子)へと、河上さんがやってきた。
そんな元気いっぱいな河上さんの後ろには、白王子もいた。

