「おっ、美味しいね、このアイス!」
ぎこちない笑顔を張り付けて、黒王子に話しかけてみるも、その声は若干上擦っていた。
『…大概アイスは旨いだろ。』
…なのに、黒王子から返ってきたのは、この一言だけ。
「そっ、そうだよね…!」
「『・・・。』」
ちーーん。
あっけなく会話終了。
こういう時、もうちょっと場を和ませようと、誰しもにこやかに接するんじゃないの?
こんな冷たすぎる人、初めてなんですけど…っっ!
ああもう、逃げたい!帰りたい!!
思わず力のままに手に持っているソフトクリームを握り潰しかけながらも、ぐぐっとこらえた。
これは…最早、黒王子との会話を無理に期待しない方がいいわけ?
そうよね?
あきらめていいよね?
『――オイ。』
心の中で、若干自棄になっていた私に掛けられた黒王子の言葉に、顔を上げた瞬間、
――パクッ
私の手の中にあったソフトクリームが消えた。

