その時の顔は、口には出さなくとも、アイツの存在を良く思っていないことを伝えるには十分で。


『さっき、トイレに行くって言ってたよ?』


これ以上の全体行動はしないほうがいいと思った。


「……颯太、先に栞奈と回っとけよ。」

『えっ、』

「俺はアイツとテキトーに回っとく。」


頭のどこかで、アイツの様子が気になってしまった俺は、颯太にこれから別行動な、と合図を送る。

栞奈と2人きりになりたいと言い出したのは颯太自身だから、俺の合図に颯太は驚きながらも頷いた。


『ちょっと待ってよ、斗真!』


早速、アイツが向かったっていうトイレに向かおうと背を向けた瞬間、俺を引き留める栞奈の声。

振り返れば、行かないでと表情で訴えられた。


『今日は下見で来たんでしょ?颯太と一緒にいた方が、』

「別々に行った方が短時間で回れるだろ。俺はあっちの遊具スペースと売店とかリサーチするから、そっち側は颯太に任せるわ。」

『わ、分かった。』

『~~~っ』

「じゃ、帰るときに合流な。」


何も言えなくなった栞奈の俺を見つめる視線を無視して、背を向ける。

しばらく後ろから降り注ぐ視線を感じていたが、それよりも、なぜだかアイツのことが気になった。