――斗真 Side――
全く気乗りしない写真撮影をした直後、栞奈は自分のスマホを取りに走って行った。
「……アイツ、浮かれすぎ。」
『ん?石川さん?』
写真撮影のバックにしていた薔薇の花壇に目を向けていた颯太が振り向いて、俺を見た。
……何でそうなるんだよ。
恋は盲目というが、颯太のそれは少し行き過ぎている気がする。
「違う。栞奈。」
『そう?いつものことじゃない?』
確かに、栞奈の態度はいつもと変わらない。
颯太の言う通り、いつもと同じだ。
俺と颯太にピッタリとくっついて離れず、うっとおしくなる程にキャピキャピとしていて。
かと思えば、俺と颯太にちょっとでも近づこうとする女がいれば、ソイツに俺らと自分の仲の良さを前面に出して、相手を近づけないように仕向ける。
正直、栞奈は幼馴染みじゃなかったら、俺が真っ先に疎遠にするような女だった。
実際、颯太は栞奈のどこを見てそんな一途に思い続けているのか、全く分からない。

