さらに驚くことなかれ。
上から目線男――もとい、黒王子の左隣で物腰柔らかな笑顔を浮かべて映っている白王子は、あの時、私と黒王子の間に割って入ったあの人柄良さそうな男子だった。
う、ウソでしょ…?こんな、こんなことって――…
『遥?どうした?おーい!』
「っ、あ…ごめん。」
あまりの衝撃の事実に、スマートフォンの画面を見つめたまま固まってしまった私の前にブンブンと振られた明日香の手によって我に返る。
『ははーん。もしや遥…俄然王子達に興味が湧いてきたってか?』
「……え。」
『分かる、分かるわ!今まで男っ気のなかった遥が見惚れちゃうほど格好良いもの、黒王子と白王子!』
……。
何か、ダメな方向に勘違いをしてくれている目の前の親友に、私は何も言えなかった。
私が王子に興味を示した、というとんでもない勘違いをしている明日香は、さらに王子の話をヒートアップさせていく。
そんな明日香の話を、また右から左に受け流しつつ、私はもう一度スマートフォンの画面に視線を落とした。
登校途中だろうか、下校途中だろうか、それは分からないが、明日香が見せてくれた王子2人のツーショットは、通学カバンを肩に下げた2人は並んで歩いている写真だった。
2人で何かを話しているような感じで、目線はこちらに向いておらず、おそらく遠目から高倍率を使って撮ったのか、画質は少し荒めだった。
それでも2人の格好良さは充分伝わってくるのだけど――…、これって、所謂(いわゆる)盗撮ってやつだよね…?

