『んで、こっちの黒髪イケメンがね、私の推しメン、黒王子こと神城 斗真くん!』
「へぇ~。………?」
神城、斗真…?トウマ……
明日香が口にした黒王子の名前が、何故か頭に引っかかった。
なんだかどこかで聞いたような名前…の気がする。
どこで聞いたんだっけ?確か――…
"斗真、買ったばかりのスマホを壊されて怒っちゃうのも分かるけど、"
"ごめんね。斗真のヤツ、元々こんな感じなんだ。悪気はないから、許してくれる?"
ッ――!
その聞き覚えのある名前を初めて耳にしたの時の記憶が、脳裏をよぎった瞬間、息が詰まりそうなほど心臓が止まったような気分だった。
まさか――ッ
「ちょっと見せて!」
『あっ、遥!?』
明日香の手に納められていたスマートフォンをガバッと荒々しく奪い取ると、今までまともに見ようともしていなかったスマートフォンの画面を穴が開くくらいに凝視した。
初めて目にする、王子2人のツーショット写真。
いや――…王子を見るのは、これで初めてじゃない。
右に映っている仏頂面した黒髪の学ラン男子は……間違いなく、昨日の昼、私が廊下の曲がり角でぶつかってスマートフォンを壊してしまった、あの上から目線男だった――。

