――「おはよー!」
翌日。
いつものように教室にいるクラスメイト達に挨拶を交わしながら自分の席に向かうと、タイミングを見計らったかのように先に教室にいた明日香がやってきた。
『おはよ、遥!』
「あ、おはよー!」
『ねぇねぇねぇ、ちょっと聞いて!』
教科書がパンパンに入っているせいで重々しい通学カバンを机の上に置いた瞬間、朝からテンションを高くして何やら興奮している明日香に制服の裾を引っ張られる。
「どうしたの?」
『昨日、ちゃーんと調べ上げてきたわよ!』
……ん?
目を大いに輝かせながらこちらを見つめる明日香に、私はいきなり何を言い出すのかと目をパチクリとして固まってしまう。
一体、何の話?
明日香の話に全くついていけていないことを察した明日香は、私の反応を見るなりキラキラと輝かせていた瞳を曇らせて大げさな溜め息を吐いて見せた。
『王子2人のことよ!昨日どっちがタイプかって聞いたら、遥ってば判断材料が足りないから選べないーとか言ったっしょ!?』
「……あぁ。」
私に向かって噛み付く勢いの明日香に言われて、そういえば昨日、そんな話をしたな、と頭の片隅でようやく思い出す。

