『だから、日曜行くからね。』
俺に拒否の言葉を言わせないかのような、有無を言わせない笑顔を浮かべた颯太。
……マジかよ。
心底行きたくない、と思った時――…、
『何々、何の話!?』
「っ、」
『栞奈(かんな)!』
突然、後ろからかかった高い声に、俺と颯太は一緒になって肩をビクつかせた。
声が聞こえた方に振り返れば、そこには幼馴染の河上 栞奈が人形のように大きな眼をキラキラと輝かせていた。
タタッと俺達に駆け寄ってきた栞奈に、颯太は天使の笑顔でおはようと挨拶を交わしている。
『それで、何の話?日曜日、2人でどっか行くの?』
俺と颯太の真ん中に割り込んだ栞奈は、男子からアイドルスマイルと呼ばれている笑顔を俺達に向けてくる。
『薔薇園だよ。生徒会で、下見にね。』
『えっ、薔薇園!?栞奈も行きたいーっ!』
言うと思った。
颯太が事のワケを話すと、朝からテンション高く、行きたい行きたいと連呼する栞奈。
小さな頃から、俺と颯太が2人でいると必ず栞奈が入ってきた。
そして、自分も中に入れてと言わんばかりに付き纏ってくる。――まぁ、それにももう慣れたけど。

