『話を聞けって、斗真!』

「あ?聞くことなんかねーよ。」


……何で俺が野郎と2人でそんなメルヘンチックな場所に行かなきゃならんのだ。

しかも、この歳で。……幼馴染の颯太なんかと。

歩くスピードを速める俺の後を必死に着いてくる颯太が、弁明するかのように早口で事の経緯を話し出した。


『昨日の会議の議案、2学期に行われる学校イベントの遠足についてだったんだよ。』


……高校生にもなって、遠足かよ。

しかも、その行き先が薔薇園らしい。――小さい子どもならまだ楽しめただろうが、この歳で薔薇を眺めるなんて退屈なだけだろうに。

もうちょっと良い行き先はなかったのか、と思ったが、どうやら予算の関係上、薔薇園しか行き先がなかったようだ。


『それで、その下見を生徒会がやることになって、その担当を決めてたんだけど。それが俺と、お前に決まったんだよ。』

「はぁ?」


颯太はまだしも、何で俺?

ようやく颯太に顔を向けた俺に、颯太はムッとした表情を見せる。


『……会議参加しなかった罰、に決まってるでしょ?』


チッ…

心の中で舌打ち一つ。

この時ほど、会議に出ればよかったと後悔したことはない。