『斗真が来ないから、会議が長くなったんだからね、昨日。』

「知らねーよ。」


ちょっと剥れる颯太をガン無視。

朝からコイツのコロコロ変わっていく反応に付き合っていたら、身体がもたない。


生徒会役員は比較的地味で気弱で、消極的なヤツらが多い。

会議でも中々自分の意見を言おうとせず、誰かが意見を述べるまで待っているようなタイプの人間の集まりだ。

平行線なまま時間だけが過ぎて行く会議に初めて参加した時はイラついてイラついて仕方なかった。

その時、俺が無理矢理会議を進行して終わらせてからというもの、颯太曰く、俺が会議にいると会議がものすごくスピーディに進むらしい。……まぁ、俺が進めてんだから当たり前だが。


面倒なものは早く終わらせたい俺とはソリが合わない生徒会役員。

……俺をイラつかせるだけのヤツらの会議なんて、出たくもねぇ。


『あ、そうそう。斗真、今週の日曜、空いてる?』

「あ?」

『薔薇園、行かない?』


………。

ピタッと前進していた足が止まって、固まってしまった俺に対して、颯太はニコニコと愛想良く笑いながら俺を見つめてくる。

薔薇園、だ……?


「……誘う相手、間違ってんぞ。」

『ええっ!?ちょっ、斗真!?』


聞かなかったことにしよう。…うん、それが得策だ。

そう思った俺は、スタスタスタと足早に歩き出し、たじろぐ颯太の横を素通りした。