『…っていうか、何で剣道部に入らないの?』
「ん?」
放課後、明日香との帰り道。
通学路を歩く中、隣を歩く明日香が急にそんなことを聞いてきた。
……ちなみに、6限の英語の小テストは散々でした。――だって、5限終わりの10分休みに初めて見たから、仕方ないじゃん?
『いや、だってー、高校の剣道部に入ったほうが、遥的には良くない?試合に出れるしー、同レベルの人もいるだろうし。ウチの剣道部って強いんじゃなかったっけ?』
「あー、まぁねー。」
おじいちゃんが開いてる道場は、小学生とか中学生向けだから、今の私の剣道の腕じゃ物足らないところもある。
……けど、私より格段上のおじいちゃんも修哉さんもいるし、部活に入んなくたって剣道の腕は磨ける。
「でも、部活に入ったら面倒じゃない?」
『は?』
「ウチの道場に慣れてるからさー、今更部活とか…こう、空気が合わないんだよね。集中できにくいっていうか。それに、部活に入ったりなんかしたら家事もできないし、朝は早いし、夜は遅いし。そんな長時間、学校にいたくないわけよ、私は。」
他の道場じゃ空気が合わないのは、中学の頃に試しに行ってみた剣道部入部体験で経験済み。
狭いし、先生はおじいちゃんよりも段が下だったし、稽古内容も密じゃなかったし。
……やっぱり、私には家の道場が合ってんだよね。

