「ごめん……今日は稽古。」
『ええ~!?』
わざわざ数少ない休みに私を誘ってくれるのはとても嬉しいんだけど、今日の稽古だけは譲れなかった。
『一日くらいサボってもいいんじゃないの~!?』
「今日は修哉さんに稽古つけてもらうの。だからムーリ。」
頑なに無理だと言う私の返事に、明日香は納得いかないのか私への文句をブーブーと漏らす。
……ちょっと、本人の前なんですけど。
カラオケに行けないことに明らかにしかめっ面を見せている明日香に、何度もゴメンと謝る私。
明日香と遊びたい気持ちはあるよ。高校に入ってからは明日香もバイトを始めて、ますます遊ぶ頻度が減っているし、明日香とのカラオケは楽しいしね。
でも、修哉さんは忙しい人だから、稽古をつけてもらうのが本当に数少なくて、今日のこの機会を逃したら、多分2週間先は絶対に修哉さんと稽古できない。
それが分かってるから……ゴメン、明日香。
『んじゃあ、来週は絶対、行くわよ!』
「おっけー。ちゃんと予定空けとくね。」
絶対だかんね!?と体を乗り出して念押ししてくる明日香に、私は苦笑いを返しながら分かった分かったと明日香を静めさせたのだった。

