『あ、そうだ。遥ー』
「何?」
昼休みもあと5分で終わってしまう頃、食べ終わったお弁当を片付けいていると、英単語帳を眺めていた明日香が顔を上げた。
――そういえば6限の英語って小テストあったんだっけ。
やばい、やってない。
『今日の放課後、空いてる?』
「え?明日香、今日バイトは?」
いそいそとお弁当を片付けて、私も机の中からまだ真新しい英単語帳を取り出した。
明日香は高校生にしてバイト人間だから、放課後遊べない率が高い。
……まあ、私も対外稽古で遊べないんだけど。
『定休日だからないの。…いい加減覚えてよー。』
「ごめんごめん。それで?何かあるの?」
『カラオケ行かない?もう最近ストレス溜まっちゃってさぁ~!』
疲れたと言いながら、明日香はその凝り固まった右肩をゴキゴキと音を鳴らしている。
うわ……その音、よっぽどだな。
女子高生の肩からそんなえげつない音が出るのかと思うと、頬の筋肉が引き攣った。

