残念だなー。イケメンなのに。
もうちょっと性格がよかったら、黒王子と白王子に肩を並べられたかもしれないのにね?
彼らの仲間に入るなら――灰色王子とか?
『他は?』
自分で考えてなんだけど、結構いい線を言っていると心の中で思わず笑っていると、前から明日香の声が聞こえてくる。
「うーん…多分、私よりも年上じゃないかな~。すごく上から目線だったから、……3年生じゃない?」
あれで同級生とは思えない。
あんな横柄な態度で1年だったら、逆に尊敬しちゃうよ。その図太すぎる神経に。
はっ!3年生ってことは、やっぱり教室に来た3年の女の先輩っていうのは、アイツの彼女決定なんじゃ――…
「どうしよう、明日香…。私、ビンタされるかも…。」
『は?』
おじいちゃんにも打(ぶ)たれたことなんてないのに…!
泣きそうな顔で助けてと懇願すると、何言ってんの?と至極冷たい瞳で明日香に返されたのだった。
『……とにかく、その人探さないと始まらないわね。バイト先に3年の先輩がいるから、今度シフトが合った時に聞いてみる。』
「ありがとう、明日香…!」
頼りになる親友に抱き着いて心からの感謝を述べれば、姉御肌な彼女は"任せなさい"ととても心強い言葉を返してくれた。

