『遥……アンタ、私がいないとこで何やってんのよ…。』
「ううーっ、どうしよう明日香ぁ~!」
体操服を早急に返し終えた私は、教室に戻ってすぐにお弁当を食べている明日香に秘密にしていたことすべてを打ち明けた。
体育前に廊下の曲がり角で美形男子とぶつかったことも、その男子のスマートフォンを壊してしまったことも、あまりにもその男子の態度が腑に落ちなくて言い争いをしてしまったことも、全て。
私の話を聞いた明日香は、盛大に頭を抱えて難しい顔をしている。
『……とにかく、遥が壊したスマホの弁償をどうするかよね…。』
「うん、うん!」
貴女だけが頼りなの、明日香様…!
まるで神を奉るかのように両手を胸の前で握りしめる私に、明日香は"早くご飯を食べなさいよ"とぴしゃりと言い放つ。
今の私に名案が思い付くはずもないので、私は明日香に言われた通り広げていたお弁当を食べ始めた。
「スマートフォンっていくらするの?高いんだよね?」
私はガラケーだから、スマートフォンが実際いくらくらいするのかを知らない。
前に修哉さんがスマートフォンに買い替えた時、意外と値打ちが張るんだね、スマートフォンって、と修哉さんが整った眉を下げて苦笑いで言っていたのを聞いたから、漠然とスマートフォンが高いというイメージは抱いているのだけど。

