ひーーーっ、どうしよう!?
私の身辺調査するの、早くない!?
『…ちょっと遥?何青ざめてんの?』
「えっ?あ、ううん!何でもない!」
私の様子が可笑しいことに一早く気づいた明日香だったけど、咄嗟に張り付けた私の笑顔を見ると私に向けていた疑いの目をお弁当に逸らした。
「そ、その人…怒ってた?」
『は?何で?…怒ってなかったけど。』
「えっ、別に?おっ、怒ってないならいいの!」
あはははーと空笑いを飛ばす私に、"怪しい…。"と言いながら明日香はジトリと私を見つめた。
おかげで私は冷や汗が全身に流れまくり。
さっき制汗剤を塗ったはずなのに、早くもべたつく勢いだ。
『ふーん…。その人、遥に話があるみたいだったよ。3年の女の先輩。』
「へっ?……だ、男子じゃなくて…?」
『は?違うけど?』
どうやら、人違いだったらしい。
私が体育の後片付けに追われている間、私を訪ねに教室にやってきたのは、彼じゃないと知った瞬間、心の底からホッとした自分がいた。

