『…お。美味しそう~。』

「ふふっ、今日は頑張ったもーん。」


丁度、修哉さんと私の分をダイニングの食卓に並べていると、顔を洗った修哉さんが戻ってきた。

顔を洗ったせいか、さっきよりも目が開いている。

白ご飯とお味噌汁、小松菜の煮浸しに納豆、鮭の塩焼きが並んだ食卓を、修哉さんと2人で向かい合わせに囲んだ。


『――いただきます。』

「いただきまーす。」


きちんと手を合わせていただきますをした私達は、爽やかな朝の時間を過ごす。

修哉さんは、私のお父さんでも血のつながった兄でもない。修哉さんと出会ったのがいつかなんてもう忘れちゃったけど、家の道場を開いている私のおじいちゃんに拾われて我が家にやってきた修哉さんは、私とおじいちゃんの住むこの家で一緒に生活している。

家族がおじいちゃんしかいない私にとっては、修哉さんはとても頼りになるお兄ちゃん的存在だ。もう何年も同じ屋根の下で暮らしているから、私にとって修哉さんは家族同然の存在だった。


『…それで、何でそんなに機嫌がいいのかな?』

「えっ?」


鮭の塩焼きにガブリついていると、お味噌汁をすすっていた修哉さんから不意にそんなことを聞かれた。

その優しげな瞳が、私を映す。