「藤井さんって、本当に何でも器用なんですね。まさに、憧れの男って感じ」
「あ、憧れ?」
「山下くん、大袈裟だよ…」
瞳をキラッキラさせて修哉さんを見つめる白王子に驚く私と苦笑いの修哉さん。
対して、黒王子は全く興味がないのか、ただただ目の前の料理を口に運んでいるだけで、口を挟むこともない。
「いやいや、藤井さんのスマートさは男の俺でも格好いいなって思いますよ。な?斗真」
「…俺は別に。っていうか、藤井さん困ってるだろ。もうやめとけよ」
「え〜?斗真は素直じゃないな。すいません、こいつ無愛想で」
修哉さんに尊敬の眼差しを向けていた白王子が話を振ったところで、ようやく口を開いた黒王子。
周りが見えなくなる白王子とは対照的に、黒王子は冷静にこの状況を静観していたようだ。
それでも黒王子の忠告を聞き流し、白王子はペコリと頭を下げる。
「いやいや、気にしなくていいさ。料理が口に合っていないか心配だけど」
「あ…いえ、美味しいです。突然押しかけたのに、夕飯までいただくことになって、すみません」
「それはよかった。いつも多めに作ってるし、今日は師範も床に着いていたから良いんだよ。よかったら、おかわりもどうぞ。ね、遥ちゃん」
「う、うん…」
意外にも、礼儀正しい言葉を発した黒王子に拍子抜けした。
図々しく夕飯に上がり込んだ白王子とは対照的すぎる言動をした黒王子を、つい見つめてしまっていると、バチっと目があってしまった。
「何?」
「い、いやっ、別に…」
ああ、やっぱり黒王子って何考えてるかわからない…。
冷たい眼差しを返されて怯んだ私は、それ以上黒王子のことを考えるのをやめて、修哉さんたちの会話に混ざったのだった。

