胴着に着替えた私は、その足で一旦、実家のキッチンへ向かった。
食器棚から湯呑みを2つ取り出して、お盆に乗せる。
「飲み物は…」
冷蔵庫を開けて、昨夜作りたてのほうじ茶を選んだ。
あ、お菓子あったっけ?
早く行かないと子どもたちが何するか予測できないため、どうしても動作がバタバタしてしまう。
時計を見れば、もうすぐ19時を周りそうな時間だった。
「ただいま〜」
「!修哉さんだ!」
実感の玄関先から聞こえた聴き慣れた声に安堵して、お菓子を探すのを一旦やめて、玄関へ足を運んだ。
「修哉さん!お帰りなさい」
「あれ、遥ちゃん?ただいま。珍しいね、お迎えなんて」
「そんなことより、聞いて!今、道場に子どもたちが稽古に来てるんだけど、そこにお客さんもいるの!」
仕事帰りで疲れてるだろうけど、手伝ってほしいの。
神にすがる思いで、修哉さんに経緯を説明した。
「え?お客さん?詳しい事情は後で聞くよ。とにかく、俺も胴着に着替えてくる」
「ありがとう!」
事態を飲み込んだ頭のいい修哉さんは、ササッと自室へ消えていった。
よし。修哉さんが来てくれたから、安心だ。
「お菓子探さないと!」
修哉さんが帰ってくるまでやっていたことを思い出し、私もすぐにキッチンへ走った。

