『どーしてくれんだよ、これ最近買ったばっかのやつなんだけど。』
「ッ・・・」
そういえばこの前、明日香がスマートフォンのカタログ見ながら最新機種がどうのこうのって言っていたことを、頭の片隅で思い出した。
その時、明日香が指さしてこれが欲しいんだよね~と言っていた機種が、目の前のスマートフォンと似てなくも…ない。
――ヤバい、どうしよう。
『前見て走ることもできねーのかよ、小学生以下だな。』
「~~~…ッ」
初対面で、これでもかと暴言を吐いてくる目の前の男を、これでもかと睨み上げれば、逆に冷徹な視線を返された。
ッ~~~何で私だけが悪いことになってんのよ…ッ!?
初対面の人に貶されたという羞恥心と怒りが相まって、みるみるうちに顔を真っ赤にさせた私は、掴まれたままだった彼の手を思いっきり振り払った。
「確かによそ見して貴方にぶつかった私も悪いですけど、スマートフォンが割れた要因って私だけにあるわけじゃないですよね!?言っときますけど、ウチの学校ケータイ持ち込み禁止なんですけど!それに、そんな大事なものならこんなとこで歩きスマホしてる方が扱い方がズボラすぎるんじゃないですか!?」
今まで黙ったままで彼に言われるがままだった私に、まさか反論されるなんて思っていなかったのか、目の前の男はアーモンド型の瞳をもっと大きくさせて驚いた。
……フンッ
私は、少女漫画に出てくるようなか弱い女の子じゃないんだから。

