「…いや、私のクラスはなかったはずだけど…?」
『え、そうなの?』
「多分、それって特別クラスだけの話じゃないかな?」
普通クラスでは滅多に数学で小テストなんてされない。
若干、普通クラスと特別クラスのカルチャーショックに浸っている白王子に見向きもせずに、黒王子はスタスタと歩いていく。
……相変わらず、マイペースな人。
まぁでも、白王子に一々反応していたら、それはそれで大変そうだということも、ここ最近白王子と対面して感じた事のひとつだった。
白王子の、特別クラスでの愚痴を半分聞き流しながら、私は2、3歩前を歩いている黒王子の背中を見つめる。
白王子って見た目と違ってっていうか、男子の割には口数が多いというか、なんだか女子みたいなところがあるようだし…ずっと一緒に居れば、疲れそうなタイプだ。
それを回避するための塩対応なのか?
元々の黒王子の性格って言えばそれまでだけど、白王子と一緒に居て疲れないための長年培われた自己防衛だとも解釈できる。
いやでも……塩対応にも度を越えているのも否めない。
これまで数々目の当たりにしてきた黒王子のぶっきらぼうな顔と、冷たい声に乗せられた辛口発言が脳内を駆け抜ける。
うーーん…
やっぱり、黒王子って謎だわ…。
そうして、結局は何の結論も出ずに、気付けば自分の家の近くまで来ていた。

