黒王子は不器用な騎士様!?




――なぜ、こんなことに?


通い慣れた帰り道を、とてつもなく大きな違和感を抱えながら、私は歩いていた。


『あ、そう言えば明日、数Aの小テストだよ。斗真、勉強した?』

『…んなもん、一々勉強するかよ。めんどくせぇ』


その違和感というのも、右隣に白王子がいること。さらに言うなら、その奥に黒王子もいることだ。

まさか、この2人と隣町だったなんて…。

帰り際の生徒会室で、私を誘ってくれた白王子に、正直に自分の家の住所を言ってしまったのが全ての元凶ともいえる。

自分が口を滑らせちゃったばっかりに、この2人と帰りの方向が一緒だということが分かって、さらに白王子から一緒に帰ろうなんて誘われちゃってさ…。

学校中で何をしていても目立つこの2人と下校を共にするなんて…校内の人間が知ったら当然悪い意味で格好の的ってもんだよ…。


トホホ、と自分でも分かりやすいほどに肩を落とした瞬間、白王子から何か話しかけられた。


「え?」

『だから、石川さんもあるでしょ?明日、数Aの小テスト。』


ああ、そういえばさっき、2人でテストがどうのこうのって言ってたな。

こんなに近くにいるのに全く2人の話を聞いていないという失礼極まりない私に対して、白王子は相変わらず天使の微笑みを浮かべている。

天使…というより、周りに鈍感なだけなのか?この笑顔は。