「……了解。」
『じゃあ、俺は帰る。』
は?
こちら側に背を向けて、今にもここから出ていきそうな黒王子。
えっ、何?ただこれだけの伝令のためにわざわざこんなとこまで集合かけられたわけ!?
『ちょっ、斗真!』
『…何だよ。』
白王子も同じ気持ちだったのか黒王子を引き止めると、振り返った黒王子はいかにもここにはもう用はないとでも言いたげな様子だった。
『帰るなら俺も一緒に帰るから待って。』
ええええー
そっちかよ!?
そこは私の心の声に同調してくれるとこじゃないの!?
今度は、黒王子同様、思考回路が一般人と少しだけズレている白王子に対して、戸惑いを隠せない私。
『…早くしろ。』
『あっ、石川さんも帰るよね?』
「えっ?」
いきなり私の方へとにこやかに微笑みかけてくる白王子に若干気を押されつつも首を縦に振り、別れの挨拶でも必要としているのかと察した私は、バイバイと手を振ろうとしたのもつかの間。
『じゃあ、石川さんも一緒に帰ろう。』
「――は?」
白王子のまさかの誘いに一瞬フリーズしてしまった私は、挙げかけた左手をスッと下ろしつつ、眉間に皺をよせるのだった。

