――そして、放課後。
「はぁ…。」
今朝よりも重苦しい雰囲気を色濃くしつつも、私は生徒会室の前までやってきた。
あーあ…こんなはずじゃなかったんだけどなぁ…。
午後のHRを終え、完全に帰宅モードになっていた私に告げられた、今すぐに生徒会室に来るようにという校内アナウンス。
ニヒルな笑顔を貼り付けた明日香に教室から無理矢理追い出された私は、泣く泣く生徒会室前までやってきた。
『……石川さん?』
「っ、…白王子……」
生徒会室の扉の前で、昨日と同じく茫然と立ち尽くしていた私に掛けられた優しげな声に振り返ると、校則指定の手提げバッグを肩にかけた白王子が立っていた。
『入らないの?』
「えっ、あ…その、何だか、入りづらくて…」
入りづらいのは嘘じゃない。
だけど本当は…入ってしまったらもう後戻りができなくなるんじゃないかって――…いやもう片足は突っ込んじゃってるんだけども。
『そんな、堅苦しく考えなくてもいいのに。』
そう言って、私の傍までやってきた白王子は私の目の前でいとも簡単に目の前の扉を開いたのだった。

