「あ、頭あげてください…!」
『お願いします…!どうか、どうか剣道部に入部を…っ!』
しゃがみ込んで、土下座を決め込んでいる先輩を何とか立たせようとするが、相手方も本気のようで中々身体を起こしてはくれない。
ここまでされてしまうと、無下に拒否することもできなくなってくる。
どうしよう…。と、完全にこの状況を前に考えあぐねていると、
『――悪いが、それはできねぇ話だ。』
背後から、黒王子の冷たい声が、廊下に響いた。
「え…?」
いきなり口をはさんできた黒王子を、ただ茫然と見つめる私。
船橋先輩も驚いたのか、今まで頑なに下げていた頭を上げた。
『――コイツは、』
グイッ
「わ…っ!?」
黒王子の手が伸びてきたと思ったら、強い力で左腕を掴まれ、黒王子の元へと引っ張られる。
いきなりのことで、可愛らしい反応もできない私に、フ…と一瞥した黒王子は次の瞬間、とんでもないことを口にする。
『もう、俺のもんだから。』

