え…はぁ……?
全く身に覚えのない話を、さも当然かのように口にした白王子を凝視してしまう私。
なんか、さっきもそんな話してたけど、一体全体どういうことなの?
『え、もしかして石川さん…この件についてコイツから聞いてない…?』
白王子の一言で、その場がただならぬ雰囲気に包まれたことをいち早く察した白王子がそう問いかけるが、あまりの衝撃で軽く眩暈を起こしている私は、首を縦に振ることしかできない。
『おい、斗真…本人の承諾くらいとっておくのが常識じゃないか?』
『あ?承諾なんていらない。』
「なっ――」
『だってコイツ、俺のスマホの弁償、まだしてねーんだから。』
ッ――…
黒王子のこの一言で、ようやく朝の件がようやく繋がった。
スマホの弁償って、9月の遠足実行委員のことなの?
『斗真のスマホの件は別として、ちゃんと本人の承諾は必要でしょ。…石川さんも、こうやって困ってるみたいだし。』
「えっ?あ……」
困ってる、か…。
確かに、実行委員になるのは困るかもしれない。
実行委員って放課後に雑務しなきゃいけないみたいだし、そうなったら、子どもたちの監督もできなくなってくる。
毎日おじいちゃんに任せるのも大きな負担になるだろうし…
白王子と黒王子が何やら口論(正確には、白王子の説教)しているみたいだけど、私は自分のことで頭がいっぱい。
修哉さんには絶対頼めないし…
ううーん…と頭を抱えていたその時、
『―――いた!やっと見つけたわ!』
遠くから廊下に、大きな高い声が響き渡った。

