『…口論じゃねぇ。コイツが勝手にキレてただけだ。』
場が沈黙に覆われた瞬間、そう黒王子が呟く。
黒王子の言葉を聞いた時、また私の何かが切れた。
「ッ――その元凶は誰にあると思って――」
『ストップ!ストップストップ!』
珍しく、白王子が声を張り上げた。
初めて聞く、白王子の不機嫌な声を聞いた私は、怒りの衝動で黒王子へと踏み出していた一歩をゆっくりと戻した。
『…俺が手洗いに行ってる間くらい、大人しくしててくれると思ったんだけど。……どうしていっつもこうなるかなぁ?』
「『……。』」
当然、この白王子の独り言にも似た問いかけに、私と黒王子は答えられない。
元凶は黒王子にあると思っているけど、黒王子にとってその元凶は、私なのだろう。
それに、白王子もその問いかけの答えを求めていないようで、言葉をつづけた。
『いつも俺がいるわけじゃないんだからさ。いい加減、2人には仲良くしてもらわないと。』
な、仲良くって…。
そのキラキラ顔で冗談はやめていただきたい、と思った瞬間、白王子は思いがけない爆弾を私に落とす。
『2人には、9月に行われる鑑賞遠足の実行委員長と、取り締まりをしてもらうんだから。』

