「そんな急に言われても、簡単に快諾なんてできるわけないじゃない!」
『……。』
くわっっと黒王子に突っかかって見せる私に対して、黒王子は特に表情を変えることもせずに飄々としている。
黒王子のあまりの無反応さに、一瞬私の言葉がこの人に聞こえていたのかさえも疑問になる。
『……さっきの会議で決まったことだ。お前に拒否権はない。』
「はぁ!?」
『だから言っただろう、放課後、生徒会室に来いって。……すぐに来なかったお前が悪い。』
要するに、黒王子が言いたいことは、もっと早く私が生徒会室に来ていれば、この件で反論する場があった、ということらしい。
……っ、そんなこと言われたって…――
「…すぐに来いとは、言わなかったじゃない。」
『あ?』
「あ?じゃないっ!いつもいつも、アンタは言葉が足りないのよ!そりゃ、私がここにすぐに来なかったことも悪いけど、急用なら急用だと何で言わないの!?そういうところから、余計な混乱が生まれるのっ――」
『まぁまぁまぁ!口論はそこまでだよ、2人とも!』
「『……!!』」
突如、最早お決まりとでもいうような白王子の牽制が私と黒王子の間に割って入った。
さっきまでの威勢をなくした私が白王子を見やると、彼ははぁ、とあからさまな溜め息をついていた。

