――『あーあ、まんまと気に入られちゃったね。』
無情にも時は過ぎ、放課後。
暖色の眩しい西日が教室を照り付けている。
気分は最悪。
こんな形でタイムスリップしたような感覚を味わいたくはなかった。
一向に自分の席から動こうとしない私に対して、全てを察している明日香が目の前で楽しそうに頬杖をついている。
「…他人事だと思って、楽しんでるでしょ。」
『だって他人事だもーん♪』
私の睨みも物ともせず、軽快に言葉を飛ばした明日香。
「気に入られたなんて、そんな生温いもんじゃないよ。」
『そう?少女漫画であるそうな展開じゃない?これ。』
「・・・。」
常時、脳内お花畑の明日香に、最早かける言葉が見つからない。
こっちは、何されるかわからないこれからに不安しか抱けないっていうのに……。
出来るなら私と代わってくれと言いたいくらいだ。

