――『遥~!何してんの~!?』
3限目の授業を終えた10分休憩。
4限目は体育だから、男子が出払った教室で女子は体操着に着替えているんだけど――…
「どうしよう、明日香!体操服忘れた!」
何度体操着を探しても、通学カバンの中身は空っぽ。
もう体操着に着替え終わっている明日香に半泣き状態の私は助けを求めた。
『はぁ!?何やってんのよ!あと5分で始まっちゃうよ!?』
「う~!今日って他に体育があるクラスってあったっけ!?」
集合時間に厳しい体育で忘れ物を借りていて遅刻なんてことはできないのだ。
…なんとしても、誰かに体操服を借りて授業が始まる前に行かなくちゃ。
『んーっと、確か2組が5限目体育だったような――…』
2組……!
数少ない友達の中から、2組所属の子を思い出して、私は教室を飛び出した。
『ちょっと、遥!?』
「ごめん!先に行ってて!すぐ追いつくからー!」
体操服を借りるため、教室から私を呼ぶ明日香の声を振り切って、騒がしい廊下を2組の教室まで全速力で走った。

