『――"恋のライバル"に決まってんでしょう?』
「・・・はい?」
こひの?らいばる?
バカは明日香の方ではないかと、一瞬でも思ってしまった私はどこかおかしいのだろうか。
――いや、きっと、私の方が正しいはずだ。
目が点になっている私とは対照的に、明日香はフフンッと自慢げに鼻を鳴らしていた。
「いっ…いやいやいや!何でよ!おかしいでしょ!」
『どこがよ?私の読みが間違ってるって言いたいわけ!?』
「だっ、だってぇ~!」
一瞬でも突っかかってみたけれど、鬼の形相となった明日香様に睨まれれば、逆立っていた心も丸くなるのは一瞬で。
私には、明日香に勝てる日が来るとは思えないわ…と、思った。
「だいたい!何で"恋"の話が出てくんのよ!?」
『はぁ?ほんっとに、鈍い!…河上さんが黒王子を狙ってることくらい、昨日の薔薇園デートで分かったんじゃないの?』
ああ。やっぱりそうなんだ。
明日香のこの一言で、小さな疑問は正解となって導き出された。
もしかしてって思ってたけど…、やっぱり河上さん、黒王子のことが好きなんだ…?

