「……い、痛いんですけど、明日香さん……」

『痛くしてんだから、当たり前。』


相変わらずひどい…。

頭を押さえながら明日香のチョップに悶える私に、明日香は口を開く。


『今、遥ってば一瞬でも河上さんに同情したでしょ。』

「え…?まぁ…そりゃあ、」

『バカね。』


だからっ……!

明日香様は、今日何回私にバカと言えば気が済むのだろうか。

っていうか、河上さんに同情して何が悪いの?

だって、周りに白黒王子目当てでしか人が集まってこないのって…悲しくない?

……まぁ、河上さん目当ての男子もいるって話だけどさ。


『河上さんは、今後、遥のライバルになるかもしれない相手なのよ?』

「は?……え、河上さんって、剣道経験者?」

『はぁ……バカもここまでくると救いようがないわね。』


何度も言うけど、酷いよ、明日香さん。

そんな風に言わなくたってぇ…

河上さんがライバル、と言われても、イマイチ、ピンと来ない。

あの細い体で、どんな剣裁きが出来るのだろうか、と真剣に考えてみるも、どうにも河上さんが剣道をしている姿は思い浮かべられなかった。