黒王子は不器用な騎士様!?




「えー…っと、」


何かを期待しているような熱い眼差しが、明日香から送られてくる。

どうしよう…本当に、どっちでもいいんだけどな…。


「まだ、ちょっと、判断材料が足りない…かな?」

『ええーっ!?』

「だだだって、ここからじゃ顔も見えなかったし!ほら、タイプも顔の好みで変わったりするでしょ?」


あまりウソが付けない私は、正直に決められないと言えば、明日香は口を尖らせてブーブー文句を言っている。

苦し紛れの言い訳を口にすれば、まぁ確かにねー、とぶーたれながらも納得してくれた。


『絶対遥も黒王子派だと思ったんだけどなー。』

「あはは…。」


身体をくねくねさせながらそんなことを言い始める明日香に、苦笑いしか返せなかった。

……私、Мじゃないんだけど。

その言葉も、やっぱり明日香本人に対しては言えなかったのだった。