私のオオカミくん。

あり得ない…。

「ふざけないでくれますか。
初対面の人にキスするとか。

なんですか、ただの女たらし?
それとも、お礼は身体でって?
ただの欲求不満なら風俗にでも行って下さいって、ホント迷惑。
兎に角、今後一切私に近づかないで下さい。
次そんな事したら警察呼_「ははっ、ふはっはっは!!
欲求不満ってっ。ふっ、面白過ぎるって。

…あー、本当に俺の事覚えてないの?しょックだなぁ。」

私の言葉に被せて、笑い始めて、話し始めて。
この変態くそイケメン。
人の話もまともに聞けないのか。
話す気が失せるわ、あぁ゛?
私は深く深呼吸をして、心を落ち着かせる。

「だから。覚えるも何も、あなたとは面識ないと思うんですけど。」

私はぶっきら棒に言い放った。

「まぁ、昔の事だし短い間しかいなかったからなー。
って、そんな怖い顔しないでよ。
名前言ったら思い出してくれるかな?」

「さぁ?
面識があるのならの話ですけど。」

もういい加減飽き飽きして来たぞ、おい。

「あは、ちゃんと言うから怒んないでよ。
俺の名前は

_オオガミ ユイ。

10年前にこの家に住んでた大神。 」

急に頭に大きな衝撃が起きる。
…忘れた事を思い出そうとすると、頭痛がするんだよな。

そんな事を考えていると、ハッと昔の思い出が蘇ってくる。

「ユイって…あんた」

でもあの子は女の子のはず。
双子?そんなのいなかった。

「やっと思い出してくれた?」

ふんわりと微笑むその笑顔を見て、確信へと変わった。

「ユイ、ちゃん…?」

私が言葉を発して、イケメンは私を見つめる。


「 久しぶりだね

ヒトミちゃん 」


_彼はそう言って、妖艶に微笑む。