そうする内に我が家まで後5m。
私は残り5m地点にある、我が家の鍵を財布から取り出す。

_とその刹那。
あろう事か、財布から小銭がボロボロっと零れ落ちていった。

「あぁ…やっちゃったよ。」

腰を屈めて、一つずつ確認しながら拾っていく。
なんて、面倒くさいんだろう。
家まで後5mだったというのに。

「あ、トラックの下までいってる…。」

少し屈んで見てみれば。
お隣の空き家の前に駐車してある、トラックの真下にまで転がっていっていた。
私は地面に膝をつけ、トラックの下へと手を伸ばした。が、

「届かない…」

そうなのだ。
届かないものは届かないのだ。
だがそこで諦めるたちではない。
今度は地面に這い蹲りながら、手を小銭へと伸ばす。